令和2年4月6日、安倍総理は、総理大臣官邸で第26回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催しました。
会議では、新型コロナウイルス感染症への対応について議論が行われました。
総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
「本日、諮問委員会の尾身会長より、新型コロナウイルス感染症の感染者が、都市部を中心に急増し、医療現場は既に危機的な状況になっているとの見解を伺いました。
そのため、明日にも諮問委員会の専門家の皆様の御意見を改めて伺った上で、基本的対処方針の改定を行い、緊急事態宣言の発出を行いたいと考えています。対象地域は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県とし、1か月程度の期間を目安とします。
最終的な発出の段階において、記者会見を開いて、私から国民の皆様に、措置の内容やどういう協力をお願いするか、丁寧に御説明したいと思います。同時に、先般取りまとめを指示した緊急経済対策を、補正予算とともに、明日決定いたします。国民の命と生活を守り抜く。これが、この対策の最大の目的です。
今は更なる事態の悪化も想定し、感染拡大の防止、医療提供体制の整備に最優先に取り組まなければなりません。これが第一の柱です。感染拡大の防止に向けて、PCR検査体制の一日2万件への倍増や保健所の体制強化により、クラスター対策を抜本的に強化します。そして、感染者の急増に備え、重症者対策を中心とした医療提供体制の整備を急ぎます。最も重要な病床の確保については、現在2万8千床の病床を5万床まで増加させます。
重症者の治療に必要となる人工呼吸器についても、1万5千台を確保するとともに、更に増産を行います。また、今後患者が増加した場合には、軽症者は自宅で療養することを原則とし、その際、家庭内で感染のおそれがある場合には、別途滞在できる施設を確保します。そのため、民間ホテルの借り上げに加え、東京オリンピック・パラリンピック大会のために準備した、警察派遣部隊用のプレハブ施設を緊急改修し、滞在施設として活用します。
最優先の課題と位置付けた、治療薬・ワクチン等の研究開発も、一気に加速させます。同時に、効果が見込まれる治療薬、アビガンを増産し、現在70万人分の国内備蓄を200万人分まで増加させることで、万全の備えを行います。
事業者の方々に対しては、この難局を何としても乗り切っていただくため、質・量ともに、支援を大幅に強化します。日本公庫等における実質無利子・無担保の融資制度について、融資枠を大幅に拡充するとともに、既往債務についても、この無利子貸付への借換えを認め、貸付条件を大幅に改善いたします。さらに、身近な地方銀行、信金、信組などでも同一条件で融資を受けられるようにいたします。
これまでにない、強力な資金繰り支援で事業の継続を強力に後押しします。さらに、本邦初となる、税や社会保険料の大胆な猶予制度を設け、総額26兆円の税、社会保険料負担を無担保、延滞税なしで猶予いたします。
これに加え、甚大な影響を受けて収入が激減し、生活に困難を来している御家庭を中心に、集中的に30万円の思い切った給付を行うことに加え、極めて厳しい状況にある中堅、中小企業に、200万円、個人事業者に100万円の、過去に例のない現金給付を行うことといたしました。あわせて、6兆円を上回る現金給付で、事業の継続と生活の維持を強力に支援いたします。
さらに、今回の対策には、感染が抑制された段階を見据え、前例のない大胆な需要喚起策も盛り込みました。特に、今回の感染拡大により大幅に落ち込んだ、観光、運輸、飲食、イベントについて、割引、クーポン券等による思い切った支援策を短期集中で展開します。
これらを含む緊急経済対策の規模は過去最大の108兆円となります。GDP(国内総生産)の2割という規模は、諸外国と比較しても、相当思い切ったものとなります。補正予算の速やかな成立と対策に盛り込まれた施策の速やかな実行に向けて、各大臣におかれては全力を挙げていただきますようにお願いします。」
戦後最大の危機と言われている新型コロナウィルスによるパンデミック、今後の政府の動向に目が離せません。