2020年のベトナム税制についてお話しします
ベトナムでは旧暦カレンダー、西暦カレンダーの2つの時間で動いていますが
日本のお正月に合わせて挨拶の連絡をくれるベトナム人の友人、パートナーがいます
そのベトナムパートナーに2020年のベトナム税制度について話をすることができましたので
ベトナムの重要な税制度4つについてお話しします
法人所得税(BIT)
外国契約者源泉税(FCWT)
個人所得税(PIT)
付加価値税(消費税)(VAT)
これからベトナムとの関係が強くなっていく企業、法人や、個人の方も多いと思いますので
ベトナムで働く人や、ビジネスを展開する人に向けて発信します
もくじ
- 法人所得税(BIT)
- 外国契約者源泉税(FCWT)
- 個人所得税(PIT)
- 付加価値税(消費税)(VAT)
- 気になる土地の事情
- まとめ
1 法人所得税(BIT)
・損金算入要件が厳しい
ベトナムの法人税は一律25%と定められていますが、優遇制度も存在しています。
一覧を以下で確認してください。
税率 | 条件 | 適用期間 | 免税 | 軽減税率期間 | |
25% | 下記以外の全ての企業 | 全期間 | ー | ー | |
20% | 社会的、経済的に困難な地域への新規投資 | 営業開始後10年 | 2年 | 4年 | |
農業協同組合、共済組合 | 全期間 | ー | ー | ||
10% | 特に社会的、経済的に困難な地域の企業 | 営業開始後15年 | 4年 | 9年 | |
優遇措置を与えられた経済特区 ハイテク地域に投資する事業 ソフトウェア、先端技術開発 重要なインフラ開発などを行う企業 | 最長30年 | 4年 | 5年 | ||
教育関連、職業訓練 医療、文化、スポーツ 環境分野の企業 | 全期間 | ー | ー |
上記のように優遇制度もあります。
例えば、日本語学校などの教育機関は税率が10%となっていますので算入も多いです
また太陽光、火力発電など環境、エネルギーに関しての事業も10%と優遇されています
ベトナム国家が何に力を入れているかわかりやすいですね
ですが損金算入要件は厳しく、担当者次第で算入できない場合も多いです。
担当者への御礼で決まったりするような国です
他に公式な領収書(レッドインボイスと呼ばれるもの)がないとできません
広告費、接待交際費、会議費、販促費などの要件も担当者次第です
ちなみに赤字は5年間繰越せます
2 外国契約者源泉税(FCWT)
ベトナム国内に法人を持たない個人・法人に関してはFCWT(外国契約者源泉税)が発生します
FCWT=法人所得税部分+付加価値税部分
という図式で成り立っていて、通常は契約相手のベトナム企業が源泉徴収することになっています
販売契約で2%、サービスやロイヤリティで10%、製造その他契約で5%などが源泉徴収されます
課税取引 | 付加価値税 | 法人税・所得税 |
物品販売に付随するサービス | ー | 1 |
一般サービス | 5 | 5 |
建設、備え付け、調査(機材設備供給あり) | 3 | 2 |
建設、備え付け、調査(機材設備供給なし) | 5 | 2 |
運輸サービス | 3 | 2 |
製造サービス | 3 | 2 |
再保険サービス | ー | 2 |
資本譲渡 | ー | 0.1 |
利子、ロイヤリティ | ー | 10 |
上記の通りです。
利子、ロイヤリティが一番高く10%となっています
ベトナムでは、銀行預金に対して7%ほど金利がつきますが
その7%の金利に対し、10%の税金がかかります
100万円を預けていると、年間で7万円の利子が発生します。
7万円に対して10%(7000円)の税金がかかりますので
実質は6300円の利子を受け取ることができます
日本では考えられないくらい高金利ですね
一般サービスでも5%の付加価値税と5%の所得税(法人税)がかかりますので、合計すると10%になります
3 個人所得税(PIT)
個人所得税という制度もあります。
ベトナムの居住者は、国内、国外問わず所得に対し課税され
非居住者は、ベトナム国内で発生する所得に対して20%となります
ちなみに居住者の定義は、「年間183日ベトナムに滞在しているか、定住する場所があるひと」となっています。
つまり部屋を借りれば定住者となります
個人所得の課税対象は大きく以下の3つに分けられます
・勤労所得(給与、賞与、手当、勤務先負担の賃料・保険等)
・事業所得(賃貸種にゅう、販売収入
・その他(株式、不動産譲渡益、利子、配当、贈与、相続)
勤労所得と、事業所得は総合課税され、その他所得はそれぞれの税率での分離課税となります
居住者への課税方法は、累進課税となっていて
下限が500万ドン(2.5万円)以下なら5%
上限は8000万ドン(40万円)以上なら35%
7段階の累進課税となっています
個人所得税は毎月の深刻と納付が必要で
翌月20日までに手続きを終了することが求められます
また、年次の確定申告、納付も必要で、翌年3月末までに行うことが求められます。
会計処理などは会計士を使うことが多いので、信頼できる会計士事務所を見つけておくことをオススメします
4 付加価値税(VAT)
付加価値税は、日本でいう消費税のようなものです
原則10%の付加価値税がかかります
生活必需品などは5%で販売者が源泉徴収して納税しますが
優遇制度を受けるには公式領収書(レッドインボイス)が必ず必要です
市販の領収書では許可されないためかなり面倒です
計算は若干ややこしいです
例えば材料が800だとして
輸入会社が材料仕入れ→仕入れVATで80
輸入会社が清掃会社への販売→売上VATで100(利益20)
製造会社→販売会社で+50
販売会社→消費者で+50
合計で200が消費者の支払額になります
ちなみに、毎年実施される税務調査で、意図的な脱税(所得隠し)が発覚した場合
100〜300%の重加算税が課せられることになります
ただこの判断も担当者の恣意的なものを感じる判断になります
普段からの関係作り、御礼の額、税務署有力者とのコネなど
人間関係が大きく影響する世界です
5 気になる不動産について
ベトナムは共産国ですので、土地は国のものだという話をよく聞きますが、実はそんなことはなく
ベトナム人であれば、土地を持つことができます
その際、土地取得税を10%払う必要がありますが
以後、半永久的に持つことができます
両親が持っている土地を、兄弟、子供に贈与することもできます
しかもその場合、非課税です
日本だと、贈与税がかかりますが、
ベトナムだと贈与税が非課税なんですね
こういった税制優遇のため、ベトナムでは不動産神話が根強く残っています
・使用期間
実は農業をはじめとする第一次産業の場合土地使用の場合、その利用期間に制限は定められていません
農業や、漁業の場合は半永久的に使用することができます
ただし、外資系企業が第一次産業をする場合、借りるなら50年の有期契約になります
50年経ち、以後継続希望ならなら、政府と話し合いをすることになります
外資企業が使うなら50年です
ちなみに外資企業が使用している場合、その第一産業で利益が出ていない場合、20年延長することができるという制度になっているようです
黒字になるまで貸してあげるよということなのでしょうか
また大使館などが使う場合は99年と定められているようです
6 まとめ
高度成長中の国ベトナム
農耕文化のため、日本とは似ているところも多く
最近でも、UNIQLOをはじめとした日本企業もどんどん進出をしています
日本に比べ、おおらかな人種のため
ベトナムではゆったりとした生活が可能です
日本での生活に疲れた人は、思い切ってベトナムで生活を始めるのもいいかもしれません
優遇制度を使い、税負担を減らして、事業展開するのも一つですね
ベトナム人は賢く、節税についても余念がありませんので
ベトナム人の友達、パートナーを見つけて
一緒に対策をするのがベターではないでしょうか
2020年も継続して成長を続けるベトナムに注目を続けましょう
終わります