おはようございます。KENZOです。
今回は新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生に対する雇用維持支援について説明していきます。
結論から申し上げますと、転職・就職先と雇用契約を締結した方について、在留資格上の措置として、一定の要件の下、最大1年の「特定活動(就労可)」を許可することになっています。
概要
〇4月20日から、特例措置として、関係省庁と連携をとり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により実習継続が困難となった技能実習生や、採用内定を取り消された留学生に対して、日本での雇用を維持するための支援を実施しています。技能実習を修了したが、帰国が困難な元技能実習生も対象になっています。
さらに自力で転職先を探すことが困難な場合のマッチング支援も実施されています。
マッチング支援の概要
本人の同意の下、個人情報や就労を希望する特定産業分野等の情報を、出入国在留管理庁から関係省庁等を経由して、公的な職業紹介機関へ提供することにより、転職・就職マッチングを支援することとなっています。
具体的には上記の図のように進んでいきます。
①まず求職者は連絡先等の情報、就労を希望する分野の情報を出入国在留管理庁へ提供する
②出入国在留管理庁が各分野に応じて情報を提供する。特定産業分野には農業、介護などが含まれます。また農業、介護分野以外の職種においては地方公共団体への情報提供がなされます。
③希望している職種の団体とマッチングが成立し、雇用契約が結ばれると技能実習の在留資格から、特定活動への移行が認められます。
実際に新型コロナウイルス感染症により影響が出始めてからの2020年10月5日時点での実績として、特定活動への変更許可件数は日に日に増しています。
グラフを見ると、飲食料品製造業が多いですね。飲食料品製造業とは以下の9つに分類されます。
①畜産食料品製造業
②水産食料品製造業
③野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
④調味料製造業
⑤糖類製造業
⑥精穀・製粉業
⑦パン・菓子製造業
⑧動植物油脂製造業
⑨その他の食料品製造業(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)
こうやって見てみると日本人が就職したがらない業界と外国人のマッチングが非常に多いことが見受けられますね。次いで農業、建設、介護と続きます。
個人的に日本の少子化対策としての外国人誘致、雇用は大いに賛成、推奨されていくべきだと思っています。現在の政策で少子化を防ぐために結婚したら補助金がもらえるなどの政策がなされていますが、実際に子どもが増えてもその子どもが働き手になるのは早くても15年、一般的に18年~22年はかかりますので、2038年までの働き手が圧倒的に足りないことになります。
これから追っていくべき情報、国際的な人の往来は再開されるのか
今回の特定活動への移行はあくまでも特例措置としての対応ですので、最大1年間しか特定活動ビザの効力はありません。根本的な解決にはならず、その場しのぎの施策と言えます。
外国人労働者の労働力に頼らざるを得ない企業、関係団体は、外国人の日本への往来が再開されるのが一番だと思います。
そこで追っていくべき情報としては、上陸拒否措置及び、国際的な人の往来の再開の状況になります。
まず上陸拒否措置に関する情報です。現在は上陸申請日前14日以内に159の国・地域に滞在歴のある外国人等については「特段の事情」がない限り上陸は拒否されています。
159の国・地域に関しては以下の法務省の資料をご確認ください。→
http://www.moj.go.jp/content/001320414.pdf
「特段の事情」があるとして上陸が認められている具体的な例については上の資料にかかれてある通りです。
では一番肝心な国際的な人の往来の再開についてはどうでしょうか?
国際的な人の往来の再開についての基本的な考え方
基本的な考え方としては、「国内外の感染状況等を踏まえながら、感染再拡大の防止と両立する形で、国際的な人の往来の再開を段階的に行っていく」となっています。
つまり、「早く外国人に来てほしいけれども、一気に増やすと感染者が増大し国民の命を危険にさらしかねない」という判断のもと、ちょっとづつ増やして様子を見ていこうという前向きな判断になっていることがわかります。
すでに10月1日からすべての国・地域のビジネス上必要な人材、留学、家族滞在等の在留資格を持っているひとは防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件に入国が認められています。
※本記事を書いている時点ではタイではデモが多発していて緊急事態宣言が出されていますので影響がでる可能性もあります。
防疫措置の確約とは
防疫措置について詳しく説明していきます。
入国の際に、誓約をしなければいけない事項があります。以下の通りです。
ア 対象者の訪日目的が真に急を要し、必要不可欠なものであること。
イ 対象者が、入国前14日以内に出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)に基づく入国拒否の対象地域(出発国・地域を除く。)に滞在歴がないことを保証すること。(注) (注)出発国・地域から訪日する途中で入国拒否の対象地域を経由する際、当該国・地域に入国・入域 許可を受けて入国・入域している場合は、滞在歴があるものとします。
ウ 対象者に対し、本邦入国後に厚生労働省の要請に従った行動をとらせ、そのために必要な管理を行うこと。
エ 対象者に対し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながるおそれのある対人接触や行動を行わないよう指導及び監督すること。
オ 対象者が、上記ウの厚生労働省の要請に反する行動をとった場合又は上記エの指導若しくは監督に従わない場合には厚生労働省検疫所業務管理室に対して、また、新型コロナウイルス感染症の疑いのある症状を有することが確認された場合には、対象者の自宅又は宿泊場所を管轄する保健所に対して、直ちに報告するとともに、日本国政府の関係当局の指示に従うこと。
これらについては誓約事項ですので、違反した場合はもちろん罰則があります。罰則については最後に記載してあります。
(1)対象者が入国拒否の対象地域から入国する場合
ア 対象者は、入国前14日間、検温を行い、仮に発熱や呼吸器症状、倦怠感等を含む新型コロナウイルス感染症の症状が認められる場合には、本邦への渡航を中止すること。
イ 対象者は、現地出発前72時間以内に新型コロナウイルスに関する検査を受け、所定のフォーマットを用いて現地医療機関から「陰性」であることを証明する検査証明を取得し、本邦入国時には検疫官及 び入国審査官に対し、当該証明又はその写しを提示・提出すること。また、対象者は、入国審査官に 当該証明又はその写しを提出できない場合には、出入国管理及び難民認定法の規定に基づき、入国拒否の対象となることについて理解すること。
※検査のフォーマット
ウ 対象者は、入国時に、民間医療保険(滞在期間中の医療費を補償する旅行保険を含む。)に加入していること。
※コロナ治療費の補償が目的ではなく無保険期間をカバーするための保険
エ 対象者又は受入企業・団体は、入国時に、対象者又は受入企業・団体が使用するスマートフォンにLINEアプリをインストールし、また、入国後 14 日間毎日、同アプリを活用し、対象者の自宅又は宿泊場所を管轄する保健所に対象者の健康状態の報告を行うこと。
※入国後14日間とは「入国した次の日から起算して14 日間」以下同様。つまり15泊必要です。
オ 対象者は、入国時に、携行するスマートフォンに、厚生労働省が指定する接触確認アプリを導入し、また、入国後 14 日間、同アプリの機能を利用すること。
※接触確認アプリ←COCOAです
カ 対象者は、入国時に、携行するスマートフォンの地図アプリ機能等を利用した位置情報の保存を開始し、 また、入国後 14 日間、位置情報を保存すること。
キ 対象者は、入国時、新型コロナウイルス感染症の検査を受け、その結果が判明するまで、検疫所長が指示した待機場所に留り、他の者と接触しないこと。
ク 空港外の検査結果待機場所が必要な場合、待機場所は自宅又は受入企業・団体が確保した施設とし、その費用は受入企業・団体が負担すること。
ケ 対象者は、入国後14日間、移動手段を下記のいずれかに限ること。(・自家用車 ・受入企業・団体所有車両 ・レンタカー ・ハイヤー)
コ 対象者は、検査結果判明後は、入国後14日間、自宅又は宿泊場所で待機することとし、不特定の者との接触を行わないこと。
※外出不可、食事はデリバリーサービスの利用推奨
※宿泊施設は宿舎などのトイレやお風呂など、複数の人が共同で使用する場所がある施設は宿泊場所として対象外
サ 入国後14日以内に対象者が有症状となった場合、受入企業・団体は、速やかに対象者の自宅又は宿泊 場所を管轄する「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡し、滞在していた地域を伝え、対象者を指定された医療機関に受診させること。
シ 入国後14日以内に対象者が陽性となった場合、対象者及び受入企業・団体は、スマートフォン等に保 存した入国後の位置情報を速やかに管轄保健所に提示するなど、その調査(感染症の予防及び感染症 の患者に対する医療に関する法律第 15 条に基づく積極的疫学調査)に協力すること。
ス 受入企業・団体は、対象者が上記(1)カの位置情報の保存を行うこと及び上記(1)シの調査への協 力として必要な情報提供を求められた際には位置情報を提示することにつき、あらかじめ対象者本人 の同意を書面でとりつけておくこと。
セ 受入企業・団体は、下記の感染防止対策を徹底すること。 対象者及び接触者の1マスク着用、2手指消毒の徹底、3「3密」を避ける
ソ 対象者は、上記の同意事項に反したことが明らかとなった場合等、不実の記載のある文書等により査証又 は再入国関連書類提出確認書の申請を行い上陸許可を受けたと認められる場合には、出入国管理及び 難民認定法の規定に基づく在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となり得ることについて理解すること。
上記のようになっています。
(2)対象者が入国拒否の対象地域ではない国・地域から入国する場合
防疫事項については(1)と重なる部分が多いので省きますが、(2)の場合、
- ・出発前に新型コロナ感染検査を受けることと陰性証明書を提出すること
- ・LINEアプリによって入国後待機中の14日間、毎日保健所に健康状態を報告すること
- ・接触確認アプリの利用(推奨はされています)
- ・地図情報アプリを用いた位置情報の記録(推奨はされています)
- ・日本入国後の新型コロナ感染検査の受診
- ・有症状となった時の「帰国者接触者相談センター」への連絡
等は不要となっています。なお日本への留学生が多い国では、モンゴル、ミャンマー、カンボジア等が現在入国拒否の対象となっていません。
罰則
誓約に違反した場合、関係当局により企業・団体名が公表され得るとともに、今後当 企業・団体の招へいする者に対し、本件措置に基づく本邦入国が認められないことがある
誓約に違反すると、出入国在留管理庁により、機関名が公表される可能性があります。
また今後、「国際的往来再開に向けた段階的緩和措置」を利用して入国できなくなる恐れがあります。
まとめ
技能実習をはじめとした、外国人労働者の労働力は日本にとってなくてはならないものとなっています。人口減少、少子高齢化に伴い労働力が不足しているからです。外国人に正しく活躍してもらうための施策として技能実習、特定技能制度など新たな在留資格も作り、外国人が働きやすく活躍しやすい場所にしていかなければなりません。
新型コロナウイルス感染症により活躍する場所がなくなってしまった外国人に対する特例措置など外国人を支援する制度も出され、日本の対応が世界的にも注目されています。
正しく制度を運用し、外国人に対する理解も深め、国際的に開かれた国となる様、これからも外国人市場を追いかけていきたいと思います。