不動産業を行う上で無視できないのが、在留外国人の存在です。日本の空室率は年々増加し、首都圏での空室率は35%にも上ると言われています。
100戸あるとしたら、35戸は空室という計算になります。これは不動産経営した事がある人なら分かると思いますが、割と絶望的な数字です。サブリースを行なっている会社だとほとんどの場合、空室率が20%を越えると逆ザヤが発生し始めます。(逆ザヤとは、受け取りの家賃よりも支払いの家賃の方が多くなっている状態)最近だと、レオ○レスなどの会社がそういう状態のようですね。
不動産オーナー、管理会社、サブリース事業者などはこの空室問題が直撃します。そしてここではこの空室問題を解決するための方法を、自分の経験談を元にお話ししていこうと思います。
結論を先にお話しすると、外国人入居者の募集を始めるべきだと強く思います。ただ一口に外国人入居者を募集すると言ってもどうやって募集するのか、入居してもらって問題は起きないのか?といった部分が心配になるオーナーさんも多いと思いますので、具体的な運営方法をお話ししていきます。
目次
- 日本語学校へアプローチ。
- 外国人受け入れの時の注意点
- 対応策
- まとめ
1 日本語学校へアプローチしてみよう
まず物件近くの日本語学校へアプローチすることをオススメします。具体的にどういうことになるか、お話しします。
日本語学校は常に留学生を管理する立場ですので、外国人の対応やサポートに長けています。しかし、教育現場ですので不動産などの知識を持っている人はおおくありません。というかほとんど知らないと思います。
本来であれば、学校が独自で運営することができればいいのですが、そこに人手を割くことが出来ません。どうしても片手間の管理になってしまうので、管理をしていくことができないので、管理を外部委託することになります。物理的な管理ですね。建物とか部屋の。
委託された管理会社は、留学生の住んでいる部屋のオーナーとなります。その時に「寮費」として学生からもらう金額は、だいたい2.5万〜3万円です。本来であれば学校の寮ですから学校がもらうものですが、委託されてあるので管理会社(You)に支払われます。
もうお気付きだと思いますが、人数分の「寮費」ですので、複数人住んでいる部屋であればその人数分の「寮費」をもらうことができるんです。
学生寮や、実習生の寮としての広さの規定が定められていて、おおよそ一人当たり「9㎡」となっています。この規定に即した運用をしなければいけませんし、何よりタコ部屋のようになっていますので、必ず遵守しましょう。
イメージはこんな感じです。
例でお話しすると、「築40年の60㎡の3DKとかの空き家」です。6畳の個室が3つあるタイプで、リビングが8畳くらいの広さに「6人」が同じ家で生活する方法での運営です。このタイプの空室をお持ちのオーナーさんはすぐに始めるべきです。
規定もクリアしていますし、十分な広さを確保できます。(一人10㎡)
この場合の運営費としては以下のようになります
寮費 3万円×入居者 6人=18万 (寮費の売上)
今まで募集に出していた家賃 10万(空き家となっていた物件の支払い家賃)
18万−10万=8万円
単純に計算すると、8万円の粗利が発生しました。今まで空室だった部屋というのはそもそも日本人に人気がないから空室になっていたのであって、外国人のニーズとはまた違います。
空室改善にもなり、さらに相場の家賃よりも多く収入があるのでオススメの方法です。
2 外国人受け入れの注意点
空室を外国人に貸して、家賃収入も増えることがわかりましたので、次は注意点についてお話ししていきます。注意しないといけないことを以下に挙げていきます
・ゴミ出しを守らない
・自転車の止め方が雑で通行の邪魔になる
・水回りの使い方が雑
実際にどういう感じになるのか写真を挙げて説明していきます。
ゴミ出しのルールをそもそも守る気がないような人もいます。こういう問題が発生したら、通学している学校の担当者に連絡をして、指導をしてもらうようにしましょう。また、集団で生活する場をこのような状態にしておくと、罰則になることを入居の前に誓約書にサインをもらっておくと抑止力になります。
また、週に1回でいいので清掃会社に依頼して、清掃してもらうのがいいと思います。その清掃費用も学校と相談して事前に決めておけば、汚した部屋から徴収して清掃会社に委託することもできますので、こうなった場合どうするのか対応策を立てておきましょう。
キッチン部分
こんな感じになっていても平気なのが外国人です。こういう使い方をする人は稀ですが、それでも一定数います。これでゴミ出しの日を守ってくれればいいのですが、なかなかそうはいかない事も多いんですよね。行政と協力しながら、ゴミ出し指導教育を行っていけば改善します。
キッチンの使い方などの簡単な説明も必ず準備するべきものです。
写真を入れて説明しましたが、これが多くの学生寮の実態だと思います。しかし事前の説明とオリエンテーションを行い、しっかり理解してもらえばこれらの問題は起こらなくなります。一度説明しただけでは理解するのは難しいので、入居してから、1ヶ月は定期的に訪問して、わからないことがないかヒアリングするのもいいと思います。
日本だとオーナーが家に来ることはあまりありませんが、外国だと割と普通に来たりするそうで、快く受け入れてくれます。週に一回は見に行ってみましょう。問題点が見えて来ます。
3 対応策
これらの問題の対応策をリストアップします。これらの準備を整えてから外国人募集を始めることをオススメします。
翻訳された契約書を準備
室内での生活マニュアル 現地語でわかるもの
近所への挨拶、外国人が来ることの周知
日本語学校との連携
こちらに4つほどまとめましたが、実際は日本語学校との連携を一番に始めることが重要です。2回目になりますが、日本語学校は外国人を管理することに長けた施設です。ノウハウが詰まっておりますので、一緒に進めていくことが、空室を外国人用の部屋として活用する一番の近道だと思います。
4 まとめ
外国人が増えてくる中で、空室を有効に活用することが必要になります。空室問題の解決にもなり、訪日外国人の部屋も足りないという問題の解決にもなることですので、空室問題を抱えているオーナーさんや管理会社は、ぜひ「外国人に部屋を貸す」という考えにシフトしていいただけたらと思います。
終わります。